Peaceful Tree

主に加藤和樹さんを中心とした観劇やライブ参戦の記録やまとめ。考察や妄想もあるのでご注意ください。

【感想】BACKBEAT(再演)ラストシーンのこと

初演の時は、マイ初日に観たときからマイ楽まで、ずっとラストシーンのことを考え続けていました。(その時の内容はこの記事の一番下にリンクを貼ってあります)今回再演にあたりそのラストシーンがどう変わっているのか、自分がどう感じるのか、とても楽しみで。そして実際に観てみたら、動きはそれほど変わっていないのに思っていた以上に印象が変わっていて驚きました。これを書かねば私のBACKBEATが終わらない(笑)ので、記録として書いておこうかなと。

初演の時は、ラストシーンのとてつもない寂寥感(二人は笑っていたにも関わらず私にはそう思えた)故に、スチュがジョンの中の柔らかな部分を一緒に連れて行ってしまったと感じていたんだけど、再演はその寂寥感は全く感じられず、二人の交わすふんわりとした優しさの漂う視線にただただ柔らかい空気を感じたので、スチュはこれからもジョンの傍にいるのだなと私は感じました。「ジョンの傍らにはずっとスチュがいた=二人の魂はずっと共にいた」ということを表しているラストシーンなのかなと。スチュとジョンが一緒にいるという意味では初演も再演も同じなんだけど、「ジョンが自分の心のある部分をスチュと一緒に行かせてしまった」のか、「スチュの魂がジョンと共にいる」かでは観てるこっちの幸福度が全然ちがう笑。タバコのやり取り以外の動きは初演とほとんど変わっていないと思うんだけど、私にとって真逆の印象になっていたのが演劇の面白いところ。それはさちこさんのディレクションもあるだろうし、役者二人が経験値と年齢を積んだ故かもしれない。でもそこはもう素直に「そう感じた」ってことでいい気がしてる。
再演から観た方の感想を見ていると、ジョンの死後に迎えにきたスチュ…と捉えた方がチラチラといらっしゃって、初演より全体的にブラッシュアップしてわかりやすくなった再演の情報のみで受け取ったその解釈が真実なのかもなぁと思ったりもして。最初と最後に現れる黒コート(を着ている人たち)は、"BACKBEATの時代"ではなく後の時代からこの時代を眺めてる人、みたいな解釈も見かけたし、死後「思ったより早くこっちに来ちゃったぜ」みたいなジョンにスチュが微笑んでタバコを咥えさせて、二人肩を並べて額縁を越えて彼岸に渡る、みたいなのも素敵だなぁと思ったりして。
もちろん演出のさちこさんの真意はわからないし、受け取り方も観た人の数だけあるだろうし、もしキャストやさちこさんが種明かしをしてくれたとしても、客席でそれぞれが感じたことがその人にとっての真実だと思うので、正解はひとつでも真実はたくさんあるよね、と。それが良い。

そして再演のあのほんの少しのほろ苦さとホッとするような幸福感を感じる終わり方は、このBACKBEATという作品にとどまらず、ジョンレノンを愛する古今東西全ての人の祈りでもあるんじゃないかなぁと思っています。
本当に素晴らしい作品でした。
この作品に、令和のビートルズに出会えたことに感謝します。

 

※参考までに、こちらが初演のラストシーンの感想です。↓
https://lea-caira.hatenablog.com/entry/2019/06/17/235800