Peaceful Tree

主に加藤和樹さんを中心とした観劇やライブ参戦の記録やまとめ。考察や妄想もあるのでご注意ください。

【観劇記録】マタ・ハリ(初演)感想

◆2018.1/21〜1/28 梅田芸術劇場
◆2018.2/3〜2/18 東京国際フォーラム

※当時散文的に書いていたメモやツイート、ふせったーへの投稿を、再演のお稽古が始まった2021年5月にまとめたものです。

再演のお稽古も始まって、さちこ先生のインタビューだったり、来週から愛希さんとの対談があったりして再演の情報が少しずつ見えてくると思われるので、その前に温めすぎていた初演の感想をアップしておきます。初演初日のツイート抜粋と、公演中のふせったーへの投稿を元にいくつか補足や付け加えをしたものです。強火和樹ラドゥーオタクの感想ですが、後半には和樹アルマンについての感想も。再演では初演と同じマタ・ハリ、同じラドゥー大佐は観られないものだと思っているので、あくまでも記録。再演もとてもとても楽しみです♪


〈初日のツイート抜粋〉
・ちょっともう、パンフもすごいけど、席が。すでに死にそう←

・やだ、これはヤバい(←幕間)
・素晴らしかった…これは誇らしい。ホントに誇らしい…(TT)
・ほぼ終始厳しい顔をしているので、カテコの穏やかな表情に癒された。立場のある男の苦悩は色気が半端無い。大好きなのでもっと苦悩してください←
・ラドゥ様やばい…あの雰囲気、性格、どストライクすぎて死にそう…
・思い出しながらアルマンが和樹くんだったらどんな感じかなと想像してニヤニヤするんだけど、ラドゥ様にど真ん中撃ち抜かれて死にそう←
・もうやだ、ラドゥー大佐、この姿で実在してるとか、困る←

・ラドゥー大佐。いろんなものとの板挟み。自分の判断が万の兵士の命を左右する。愛した女は手に入らない。軍人としてのキャリアも捨てられない。可哀想な人。今の時代ならダメな男だけども、あの時代、負けが込んでるフランス、国家の行く末さえ背負わされる諜報部大佐。仕方ない…


★ラドゥー大佐感想★
◆マタが訪ねてくるシーン。
ガウン投げるのは和樹くんだけなのねw シュガーラドゥーは実直な男が道を踏み外してしまった感じだし、和樹ラドゥーは視線も手つきもエロくて獲物を狙う獣のようで、どちらのラドゥーもマタから見たらヤバい感じしかしない(笑)。あのシーン、ラドゥーが欲望をむき出しにしてからのマタはずっとあからさまな拒否の視線でラドゥーを見てるけど、あそこでラドゥーの欲しい言葉を嘘でも一言でも言っていたなら話は違っていたのかもとも思えた。アルマンにまっしぐらのマタには無理だったろうけどもw


◆裁判のところの歌「戦争に勝つために」
ラドゥー大佐がマタのことをファム・ファタールと言っていることに今日気づいて息を呑んだ。ファム・ファタール、運命の女。運命だと思っていたんだよ、マタのことを。それはおそらく最初は祖国フランスを勝利に導く女神としてだったのだと思うけれど、それがいつしか自分自身の女神になってしまっていたんだよね。大佐…(TT)


◆ラドゥー大佐のマタ・ハリへの想い。
愛情なのか執着なのかと思っていたけれど、今日見えたのは狂おしい程の愛情だった。しかし上官の娘を妻としている身、マタ本人を利用しようとしている立場では、それをストレートに表せるはずもなく。叶えられない、叶えられるわけもない。それでも止められない愛情がほとばしってて。素直な愛情を注げない分、それが全て劣情に変わってしまっていたようにも見えた。だからアルマンへの嫉妬も、マタの心が自分ではなく彼に向いていることだけではなく、任務も国の未来も全て捨ててマタに愛情を向けられるアルマンの愛し方への嫉妬もあったのでは。もちろん多くの兵士の命とフランスの未来を背負っている自分にはその愛し方はできないと分かった上で。

愛しているという気持ちが隠しきれない嫉妬の怖さ。本人は隠せてるつもりなのか、それすらも思い至れないのか。だから終盤アルマンが現れた時のゾッとするような冷たい表情が本当怖かった…。惹かれている自覚は初めからあっただろうけど、こんなにも愛してるのだと気づいたのは…マタに迫ったあとかな?ソファに座ったあと、暗転の中、自嘲気味に笑ってたから…←この笑い方も歪んでてすごかった。マタに迫るシーンは見る度に大佐の視線の熱っぽさが増してる気がするし、「信用に足る男だ」のところは抑えきれない気持ちに懇願に近い空気も混じってて、大の男がそこまでになっちゃうのかと…


◆ラドゥー大佐の最後の歌。(1/27)
※注)大阪公演の感想。東京はここの大佐の雰囲気が変わってた。(後述)
それまでの歌と違い、任務や劣情や嫉妬で張っていたものが全て失われて、消えてしまいそうな儚さ。前回は切なさや悲しさを感じたけど、今日は歌い終わった後の表情に、絶望を感じた。やるべき任務を全うした代わりに、大事なもの(それはマタだけではなく、自分の芯のようなもの?ちょっと言葉にできないけど)を自ら手放してしまったことで、抜け殻のようになっている気さえした。誰より自らが置かれた立場をわかっていて、しなければいけないことに忠実な人だったのに。悲しい…

※注)東京大千穐楽の和樹ラドゥーは、アルマンを撃った後によろめいてフラフラになって手すりにぶつかりながら階段を登って、歌の途中まではたぶん過去最高に憔悴して呆然としていたけれど、ラストに近づくにつれて何か力が戻ってきて、最後は憔悴しながらも、全てを背負って生きていくのだという意志が感じられる目をして捌けていった。この注釈を書いている3年後の今となっては、もうどのワードで大佐が力を取り戻したのか思い出せないのが悲しい。私はあの最後の大佐の様子で救われたし、大佐好きが完全に固まりました。


◆ 2/3 ソワレ (東京公演)
ラドゥー大佐の愛の重さ。冒頭、マタのところに来る前から薔薇に口づけしてたり、マタがスパイを受けると言った時に思わず抱き寄せそうに両腕をガシッと持ってからハッと気づき、「あ、いや…」というような表情をして手を離してたりしてたけど、でもこの辺りまではまだフランス勝利のため、という雰囲気も残ってた。おそらくその境目もラドゥー大佐本人は気づけないままマタに惹かれていったんだろうなと…マタが去るときはつい視線も身体もそちらに向いてしまうのに、それすらも本人はおそらく気づいてなくて。アルマンとマタ、それぞれに嘘をつかれたあのシーン辺りから、嫉妬でどんどん狂っていくのが悲しい。


◆冒頭のパーティシーンでの大佐と奥様との会話。シュガーラドゥーは、「これは任務だから。彼女(マタ・ハリ)が僕たちの関係に割って入ってくることなどないから安心して?」と言っているような口調と表情なのに比べて、和樹ラドゥーはフランスを救うための任務を下世話な浮気話にすり替えられたことに腹を立て呆れているような表情…の裏に、既に(大佐本人は気づいてないかもしれないけれど)マタ・ハリの虜になっているがゆえに、彼女に嫌悪感を示す奥様の反応にムッとしている気持ちが隠されているようにも見えて。奥様が先に降りていった時の表情も、シュガーラドゥーは苛立ちっぽい感じだったのに比べて和樹ラドゥーは呆れている感じで。奥様への愛情の有無の差がわかるなぁと…


◆2/3ソワレ おうちラドゥー
マタが訪ねて来たところの言い寄り方が大阪の時より強引で、逃げようとするマタを捕まえて無理やり抱きしめようとして拒絶されて。♪電話で聞こう、と電話のところまで行って、ふと報告書に目を留めてから手に取ってることに今日気づいた。あの中にそういう報告があったことを思い出したんだなと。あと今日はグラスが割れそうな勢いで置いてた…。あのシーン、♪何をくれる?と歌ってるけど、マタからは何も受け取れない上に、マタの視線が本当に嫌がってて、でもたぶんそんなことにも気づけない(無視できる?)程にあのシーンの彼はマタが欲しくてタガが外れてしまっていて、それが本当に切ない…。あの後の髪かきむしって叫びながら歌い出すところは、まさに激情…。


◆2/3 ソワレ裁判のシーン。
国のために心とは裏腹に臨む感情を押し殺したような威圧感。アルマンが現れて対峙した時は、表情だけでものすごく怒っているのが見てとれて。そしてラスト。マタが逃げた時のあの激情を知っているから、ラストの抜け殻のように佇む彼が本当に悲しい…


◆アルマンとラドゥーの観劇後感
朝日を見ようと誘われたりマタの生い立ちを聞いたり、リヨンに行こうと誘われたりとマタが積極的に関係を動かしていくアルマンと、スパイになること以外は関係を持つどころか触れることも拒絶されるラドゥー。立場や愛し方が違うし、この作品でラドゥーは悲劇を背負う役目だと思ってるから仕方ないことなんだけれど、私が観終わって辛かったのは実はアルマンの方だった。だって死んじゃうから。愛する人に再会できて自分の気持ちをもう一度受け入れてもらえて、その腕に抱かれて死ぬのはこの時代においては幸せなことだと思う。でも死んじゃったら終わりだもの。アルマンはマタ・ハリの裁判の意味を考えると、あの場に乗り込んできたことも、もしかしたら死んだことすら無かったことにされているかもしれないので余計に辛い…。 だから抜け殻でもなんでも生き残ってくれて、「その先」を想像できる余地を残してくれたラドゥー大佐に私自身は救われたと思う。大佐自身にはあんまり救いがないので、可哀想なんだけど… でも、こういう感想は少数派だろうなとは思う。
今書いてて気づいたけど、ということは、大佐はアルマンを殺したという自分の罪を対外的には無かったことにされてひとりで背負って、愛した人を国のために偽って死に追いやったことを(二重スパイを断罪した人物として)讃えられて生きていくってことだね…それも悲劇…。


◆ラドゥー大佐(あくまでも推測)
諜報部トップ着任前の所属。諜報部の前はどこにいたんだろ?と思っていたけど、もともと諜報部に所属していて、4ヶ月前にトップに任命されたのでは?とリプライいただいてなるほどなと。その方がしっくりくるなと。それに、アルマンを1年前に部下にしてることとも矛盾が起きない。 そうすると、首相の「あの役立たずの機関の〜」ってセリフにちょっとだけ違和感があるんだけど、それでも他の所属から持ってきてトップに据えるよりは矛盾がない。あれかな、娘婿になった時にトップにさせるつもりで諜報部に所属させたとかかな? まぁ、全部推測の域を出ませんが。でもこういうの考えるの楽しい(笑)。


★アルマン感想★
◆ 和樹アルマンは真っ直ぐで壁がなくて、マタ・ハリが彼に心を開くのはすごく納得だった。1幕はときめきポイントがいっぱい。2幕はマタへの思いがいろんな形で表されてて、思わず涙。和樹くんは歌に気持ちを乗せることが本当に上手い。幸せでした(*´艸`)。


◆2幕のアルマン。何度も出てくる、屋上で日の出を見た朝のこと。事あるごとにこの朝のことを思い出すアルマン。♪普通の人生 でそのことを歌っている時の表情が瞬間穏やかになって、彼の人生の中で一番嬉しくて幸せな朝だったのかもしれないな…と。


◆和樹アルマンの敬礼
大佐にマタの報告に来たシーンの所作。敬礼姿がめちゃめちゃ綺麗。敬礼してから去るところ、踵の返し方から歩き方まで私服なのにきっちり軍人で、普段のアルマンと纏う空気も違ってて、後姿すらヤバい。敬礼ヤバい…


◆和樹アルマン 中尉のシーン
パイロットの軍服最高♪「さあ行こう。俺たちには任務がある」の後、客席に背中を向けて両手を広げ、掌を「行こう!」と動かしてから走り出す後姿。(わかる?)ここの後姿がどえらいカッコよくて、観ながら「待って!巻き戻して!←」って思った…敬礼と並んで仕草としてはベストツボかもしれん。でもここのお芝居はなんとなく変わっていく気もするので、次回期待しないようにして観る。(脳内には録画済なので←) それから、ピエールが飛ぶ気になった時に、別の部下と一緒にピエールを見る笑顔がすごくいい…同じ道を通ってきたからわかる上官の感じがとても素敵。 そしてこのシーンラストの離陸後の立ち姿。任務に向かう凛々しさともう会えないという想いがせめぎ合ってる複雑な表情してて、ほんと切ない…そしてその後のシルエット。これは素敵すぎて反則。よくぞあそこでシルエットにしてくれたなぁ、石丸さん。ありがとうございます。


◆和樹アルマン 負傷シーン
2幕の撃墜された後の曲とお芝居が素晴らしかった。お芝居と歌が完全に融合してた。舞台にはアルマンひとりだけ。歌のみでもお芝居のみでもシーンが成立させられるくらいなのに、それが見事に融合してるから、アルマンの気持ち、置かれた状況がさらに強く伝わってきて、ここだけずっと観てたい幸せな時間だった。(シーンは辛いけど) 左腕は見るからに重傷で。庇いながら地面を這い、歌いながらも呻き声がところどころ入って。銃を構える時も最初は動く右手だけで。撃つ時に辛そうに無理やり折れてる左手をあげて構える芝居が最高。 マタが去った後の車椅子のシーンでも折れている左手では車椅子の車輪を回すことさえままならない。そんな心も身体も傷ついた状態でマタを思い歌う♪普通の人生。彼の想いが心にダイレクトに届いて切ないし辛いし…泣けた。ああいうお芝居、大好き。


◆ 目を閉じているアルマン。
マタの自宅で寝てるシーンでは今日は腕組んで寝てて、その腕の筋に大変ときめいてオペラでガン見(*´艸`)。寝てるんだけどちょっと身じろぎするのがなんともリアルで素敵。
病院のシーンは、痛いのかうなされてるのか、看護婦さんたちが歌ってる時にたまに眉間にシワを寄せたり少し首を動かしたり。ああいうの大好き♡あ、あと今日も足の裏見えた♪
そしてラスト。任務を黙っていたことでマタを傷つけたことを謝ることができて、許されて。彼女の頬に手を伸ばして…死に顔が微かに微笑んでいて号泣。愛する人に抱かれて彼女の愛を感じて…彼女の顔を見ながら声を聴きながら迎える最期。幸せだったんだね…。