Peaceful Tree

主に加藤和樹さんを中心とした観劇やライブ参戦の記録やまとめ。考察や妄想もあるのでご注意ください。

「怪人と探偵」二人の対峙〜ラストシーンまで

この考察が自分の書いた中でも一番好きかもしれない。いや、ほんと私のこの作品にハマったんだなって…(笑)

 

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二人の対峙シーンからラストシーンまでの考察。明智さんに傾いたものですので、ご注意を。 


対決の時、怪人に「正義は人間が作ったおもちゃ」だと言われた明智さんは、「正義じゃお前に勝てない」と、自分の信条をあっさり否定する。正確には、おそらくケイコを助けようとひとりで鬼面城に向かった時点から、それまでいろんな理由をつけて封じていたケイコへの想いを解放して、自分の気持ちに嘘をつかないことを決めてるように見えた。 そして、牢の中で偶然ケイコの気持ちを聞いて、抱きしめて心通わせた時に、その気持ちをさらに強くしたのかなって。 正義を掲げる探偵ではなく、愛を守るために戦うただの男になって、「刺し違える」覚悟で怪人と対峙する。こうなると、怪人は明智さんには勝てないと思う。 


「愛なんていらなかった」 


「世界で一番綺麗な宝石は「愛」」だと歌いつつ、最終的には「愛なんていらなかった」と言い放つ怪人は、本当の意味では「人の愛」を理解できていなかったのかもなと。 


「愛してはいけなかった」 

「愛なんていらなかった」 


この二つの言葉に込められた「愛」の重さ、全然違うもの。 

この対決シーン、リリカを取り合っているのに、愛「なんて」ってどういうこと?と初見から引っかかっていて、たぶんあの時点で、私は「怪人は真の意味でリリカを愛してはいないんだろうな」って思ったんだろうね。だから余計に、ラストシーンで明智さんがそんな怪人に乗っ取られたように見えたことが悲しかったんだと思う。 結局怪人は、自分と自分の行動を愛することしかできなかったのかなって。「真実の愛」を欲してはいたのかもだけど、人と人の間に流れる愛は理解できなかった。 だから、正義を捨てて「刺し違えても!」と叫ぶ明智さんに、「何?」と反応する。明智さんの中では自然な気持ちの流れだけど、怪人には「愛」というものが自身のアイディンティティを否定してしまえるほどのものだとは理解できない。頭の良い明智さんなら(というか、おそらく理屈ではなく感覚で)、そんな怪人の様子から怪人には自分ほどケイコへの愛がないことがわかったはずだから、当然「お前にだけは絶対にケイコは渡さん!!!」となる。 明智さん、負けるわけないです(笑)。 


そんな考察をまとめて考えると、やはり最後の明智さんは、明智さん本人なのだろうなと。そして、昨日観たフォロワーさんの報告(ありがとう!)から、ケイコも明智さんと怪人との死闘の結末を知っているんだなって。(明智さんが教えたんだね) 


愛してはいけなかった女性を愛してしまった。そんな自分の中の「濃い影」の部分を全て認めて、その上で「世界で一番綺麗な宝石」を守り続けるために、改めて今まで通りの「正義」を掲げた明智としての仮面をつけて、彼女と共に生きる。 (そしておそらく、ケイコはそんな明智さんを理解しているはず) 

自分の中の「悪」を認めて、その上に「正義」を乗せた明智さんに怖いものはない。ラストの高笑いとあの目は、そんなちょっと行き過ぎてしまった明智さんを感じて、本当に怖かった。 

でもね、明智さんは幸せを手に入れたと思うの。愛すること自体が罪の意識を増幅させる苦しみから解放されて、愛したい人を、誰にも、なんなら自分にすら憚ることなく愛せる幸せって、彼の中ではすごく大きいことだと思う。そして、その愛にケイコが全てをわかった上で(←ここ重要)応えてくれるということがわかっている安心感。 


あれ? この物語、ハピエンになったよ?(笑)